ペットブームの陰には、絶えない動物虐待もあることをご存知でしょうか?
獣医師は、かわいいペットの治療をするものと思われがちです。
しかし、虐待された動物や、時には、遺体と向き合ったりするのも私たちの仕事です。
今回は、動物虐待に関する新しい獣医学のお話をしましょう。
そりゃあ、病気の動物たちを治すって感じであります。
うん、そうだよね。でも実は獣医師が診るのは生きている動物だけではないんだ。
え!どういうこと…?
動物虐待の現実
令和元年6月19日、動物の愛護及び管理に関する法律(通称、動愛法)が改正されたのをご存じでしょうか?
特定動物に関する規制が強化されたことで、印象に残っている方も多いかと思います。
今回の法改正では、動物虐待に関する罰則も強化されたんだ。
(1)と(2)が今回重要な部分であります!
出典:「動物の愛護及び管理に関する法律などの一部を改正する法律の概要」 (環境省)(2019年9月25日に利用)
(1)動物虐待の件数と罰則
動物虐待の件数は、年々増えているんだ!
絶対に許せないであります!!
出典:「平成30年における生活経済事犯の検挙状況等について」 (警察庁)
動物虐待事犯とは、動愛法第 44 条違反に係る事犯のことを言います。
上の図表からお分かりいただける通り、動物虐待の件数は年々増加しています。
しかし、死体を捨てて廃棄物処理違反に問われたケースなどは、含まれていません。
また、発見されていないケースも多いと考えられますので、実際の数はもっと多いことでしょう。
今回罰則が強化されたのが、この動愛法第 44 条です。
※詳しくは、こちらの32ページを参照ください。
「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)-令和元年6月改正反映版-」
罰則が強くなっただけで、虐待が減るのかな?
虐待を少しでも減らすために、獣医さんにもできることがないかな?
(2)獣医師による虐待の通報の義務化
アメリカ獣医師会の調査(2017)によると、「診療の中で動物虐待のケースに少なくとも1件は遭遇したことがあるという獣医師は87%」で、「そのうち55.8%の獣医師は、少なくとも1件は動物虐待を報告したことがある」と答えたそうだ
実は、獣医師の87%が、動物虐待の患者さんに遭遇したことがあると言います。
これまで、獣医師による通報は、努力義務にとどまっていました。
しかし、今回の法改正にて、動物虐待の通報が義務化されました。
虐待をなくすためには、獣医さんが虐待を見抜くことが必要であります!!
虐待を見抜くために、法獣医学という新しい学問ができたよ!!
人間の死体を解剖して死因を探る、法医学に似ているであります!
次回は、法獣医学とは?について掘り下げていくよ!
次回に続く、、、
獣医師の仕事〜声なき声を聞く〜(2)
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